COD:MW2




ようやく隠れ家にいた敵を一掃したというのに
無線から聞こえるゴースト中尉とプライス大尉の会話から中身を抽出すると
マカロフの隠れ家はもぬけの空で、大尉達の方もハズレという事だった

「あのシェパード大将がブツブツ文句を言う姿が想像出来て笑えるわ」
「まだ大尉達が完全にハズレって決まったわけじゃ」
「どうかしら、にしても皮肉という名の嫌味のひとつでも漏らすのがあのジジイと思わない?」
「・・・は本当にシェパード大将が嫌いだね・・・」

評判が悪いとはいえ上司かつ大将という全軍を支配下におく身分であるシェパードを
事ある毎に罵るのはTF141でさえだけである
深い理由など無いのだろうが軍という社会で女という身分は災いすることが多い
それが上になればなるほど

「何かと嫌味を言ってきてまるで人権団体のよう」
「まあ確かに・・・」


普段のシェパード大将のに対する待遇を見ていると
男の自分にはいちいち言わない事を女のには永遠とぶつけるものだから
あまりにも酷くてプライス大尉でさえ助け舟を出した程である


「犬でヒトデナシの癖に何が“我々は歴史となる”よ・・・笑えない冗談だわ
これだから英雄主義国家ヒーローバンザイのアメリカ人は・・・」

そう腹を立たてように英雄の存在でさえ否定するの意図が分からずローチは困惑する
英雄とは誰しも憧れるもので、すごくて、輝かしい身分のはずだ

「・・・英雄ヒーローが嫌いなの?」
「そんな事ない、でも英雄なんて居ない方がいい、きっと・・・」
「どうして?英雄を求める事はいけない事かい?」
「違う、アレ・・は英雄になるために“英雄の志願者”、仲間の犠牲を前提にしている事が問題なの」
「・・・俺達は“英雄”だなんて大げさな事考えてないよ」

英雄なんてホンの一握りの人間しかなれないし
それこそどんな任務より難しい、そう否定するがは聞き入れてはくれない

「でもみんな一度は英雄になりたがる。
だって今は戦争が起きていて悪者がいて私達は悪と戦う軍人だもの
そして誰かが英雄になるのよマクタヴィッシュ大尉みたいに、そうでしょ?」




【ジョセフ・アレン上等兵です!転属前は第75レンジャー連隊の・・・】


アレン。新しく仲間になった人。会話も交わして、そして死んだ人
TF141に入隊して誇らしそうに胸を張っていた人


【え、TF141におん・・・女性が】
【生憎ピーナッツもナッツも無いわよ。男が良かったなら誰かでも誘えば?
その代わり尻から火花が噴いても知らないけど】
【し、失礼いたしました!!】
【なーんて!冗談はこれ位にしてアレンねよろしく!】
【は、はい!!】


あの日、アレンは教えてくれた。シェパード直々の御眼鏡に適い潜入捜査員になると
ロシア空港の惨劇が起こり、テロリスト扱いされ殺された
今も彼はテロの実行犯として認知されTF141の名誉も地に落ちた
マカロフとその仲間は捕まらずアレンだけ死ぬなんて情報が漏れていたとしか思えない



仲間のために、屈辱を晴らし、汚名返上を
ただそれだけだ

だけど

それがとても難くて――





――みんな死んでいくような、任務ばかりではないか――






・・・・・・・・・・・



「・・・仮にそうだとしても俺達は信頼は取り戻さないといけない、そうだろ?」

「・・・・・・・・・・・・・っ」


誰が為にか


ローチの言葉には一瞬目を見開く
だがローチの真摯な目はの言葉をつまらせ
やがて意気消沈したかのようにはうなだれた


・・・・・・・・・・・



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・




「・・・知ってる、知ってるわ、だから私はここにいるのよ。だってあんまりじゃない

私達はこの環から抜け出さないと英雄ヒーローどころか、 待っているのは白眼視される日々テロリストあつかいよ・・・」




そう吐き捨てるように呟き俯く

だがその声は、微かに震えていて


なんだかが泣いているような気がしたけど涙は見えなくて
俺がなんて言えばは納得してくれたのか
今更になって言葉を探してみたけど出てくるはずも無く

ただ自分の体より小さな体で必死に戦うの頭をあやす様に撫でた







英雄になりたかった