私はローチが死ぬのは嫌よ、TFのみんなが死ぬのも
俺だって嫌だよ、が死ぬのも
でも危なくなったら皆が助けに来るから嫌ね
・・・どういう意味だい?
王子様は要らないって意味よ―――――
今日も戦友の血が流れた
その体は肉になり、彼は死体の欠片になった
本来ならば航空機で基地に運ばれていくのを俺はただ見上げるはずなのに
出来ずに国旗も棺桶もないのに彼を燃やして地面に埋めた
その様子がまるでゴミを埋めるかのような扱いに思えて
腹立たしくて、悲しくて、辛かった
辛かった
「・・・ローチ、それでもいつか私を見捨てなければいけない」
「仲間を助けるのは当然だろ!」
「不利な状況では見捨てなければならない、忘れた?」
「馬鹿にするな!!分かってるそんな事!!」
「理解は出来てない。見捨てると誇りが傷つくから?
良心が痛むから?私を助けてローチが死ぬの?」
「・・・っ、そうと決まったわけじゃないだろ!!」
「確かに決まってない、二人死ぬ場合もある」
「そんな事考えたらキリがないだろ!!」
「常に最悪のことを考えて他の計画を組み立てるのが賢いと思わない?
ねえローチ私を助けることによって隊が危険を被る場合は?作戦は?仲間は?」
冷静に質問するがローチを攻め立てイラつかせる
頭では理解しているのに戦友が死んだばかりなのに立て続けに責められている様な錯覚にさせられ腹が立ちローチが壁を殴りつけて、に詰め寄る
「いったい何が悪い!なぜ俺に助けられるのを拒む!?」
「私は作戦を放棄させてまでローチに助けて貰える身分ではない
忘れたか我々は軍人だ、理性で生死の価を考えろ
仲間を助ければ英雄だが、任務が遂行できなければTF141の意味がない」
「マクタヴィッシュ大尉は俺達を簡単に見捨てたりしない!」
「ローチそれは話が違う、ついでに言えば大尉は正確にそれを判断できる人だよ」
大尉もきっと私を置いていく人だよ、きっと
「そんなの分からないじゃないか!」
「隊長が女の一人や二人見捨てる事が出来ないなんて私が困るよローチ」
「詭弁だ!それは詭弁にすぎない!仲間を助けたいと思うのは当たり前だ!」
「ローチ」
が静かに俺の名前を呼び、左頬に手の平がそっと置かれ
添えられたの指が優しく俺の頬を撫でた
「ローチ顔が真っ赤だ、深く呼吸をして落ち着いて」
「・・・平気だ」
「とりあえず座って欲しい、ローチに上から睨まれると蛙になった気分になる」
「・・・なんだそれ」
の手が離れて椅子に座れと催促される
しぶしぶ座ろうと腰を下ろした瞬間
そのまま顔を塞ぐように抱きしめられた
「ローチ」
「・・・っ?!」
突然のことに思考がとまる
体が硬直している自分を見てはまた静かに己の名前を耳元で囁いた
「ローチ」
そしては俺の髪を、頭を指先で優しく撫で回す
その心地よさに目を細める
「・・・私はローチを英雄にしたい訳じゃないよ」
俺だってを見殺しにしたくない、と言いたかったが顔が塞がれて喋れなくて
離れようとしても離れがたく、何よりそうしようとしてもが自分を掻き抱いた
「・・・ねえローチ、私が死んだら早く忘れて、気持ちを切り替えて前に進んで
そのために早く王子様の夢を捨てて、感傷を浅くすむようにして」
そうでもしないと男は傷つきやすいんだから