「ねえディリータ・・・・もう戻れないの・・・・？」
「 ・・・・」
「うそだよ、ね・・・また、一緒に居られるよね・・・」
「・・・」
「だ、ってあんなに」
いつでも傍に居てくれたのに
「もう、帰るんだ・・・」
「・・・どうし、て」
「、帰るんだ。もう俺は・・・」
【愛することも、守ることもできないから】
「・・・・・帰って、くれ・・・」
ディリータの声はかすれていて、とても小さな声だった
けれど確かに私の耳には届いてしまった
それは懇願する言葉で、私は涙が止まらなくて
私の涙をみたディリータの表情が辛そうで
すまない、と謝るディリータ、だったら慰めてくれればいいのにと願う
でも、ディリータは素直だから昔みたいに抱きしめて、慰めてはくれなくて
もうディリータの気持ちは無いのだと
昔には戻れないのだと
そう自覚してしまったらますます涙があふれて
もしもあなたが愛してると言って最後まで利用してくれたのなら
・・・私は笑って、騙されることができたのに・・・・
もしも、あなたが
「、帰ろう」
そう言ってもの泣きそうな顔を見て僕はため息をついた
何があったかは分からない
帰ってこないをラムザが心配して探してくれと頼まれ
やっと見つけ帰ろうとに促したが本人はここを離れようとしない
「みんなが心配しているぞ？」
「・・・っ・・・」
そう言うとようやく顔をあげたが表情は落ち込むばかりで
「なあ、どうしたんだ？、なにかあったのか」
もう何度目になるか分からない質問をした
「・・・・・」
けれどは相変わらず答えようとしない、その態度にいい加減嫌になり
「ああ、もう！なんて知らないからな！」
つい怒鳴ってしまった。その声には目を見開き首を横に振る
「・・・あ・・・・」
様子がおかしいをみて言い過ぎたと思い、急いで謝ろうとしたが
その前にが胸にすがりつくように飛び込んできて
「・・・めん、な、さい・・・」
「？」
・・・お願いだから・・見捨てないで・・、そうつぶやいた
「・・・」
「・・・ディリータに見捨てられたら、私、わたし・・・」
そう泣き出し繰り返し、見捨てないでつぶやく
その言葉をつむいだは、いったい何を思っていたのだろう
氷の心臓
どうして、なぜ、と二人にすごく心配かけてしまって
でも、理由はいえなくて
迎えに来たディリータに戻りたくない、と頼んでも
ラムザが心配してるんだぞ、どうするんだ？と言われれば
繋がれた手を離す事はできず、黙ってついて行くしかなくて
渋る私をディリータは無理やり一人でラムザの部屋に戻した
「！？よかった無事だったんだね！」
そうしたら私の無事を素直に喜ぶラムザがいて
ぎゅっと抱きしめられた、その行為にますます心が痛む
「どうしたの？急に姿が見えなくなったから心配したんだよ？」
「・・・・・ご、めんなさい・・・」
「？」
「・・・もう、しないから・・・」
ラムザの追求をこれ以上聞きたくなくて、私はラムザの胸に縋りついた
涙声の私にラムザは焦って、あー、うーとか唸って困っていたけど
「・・・大丈夫だよ、怒ってないから、ね？」
だから泣かないで、そういって私の涙を綺麗な布で拭ってくれた
布から伝わるラムザの優しさが、我慢していた涙があふれて
「・・・っく・・ひっく・・ごめ・・な・・さい・・」
「・・・・・大丈夫だよ、僕はここにいるから」
ずっと傍に居るから、そうあやしてくれるラムザに私は心の中で何度も謝罪した
ああ、もし私のすべてが嘘だったと言ったら、二人は私を受け入れてくれる？
拒絶されるかと思うと、胸が痛くて呼吸ができなくなる
お願いだから、何も聞かないで、何も言わないで、ただもう少し私に騙されて
好きなのに、好きだから
「おはよう、ティータ」
「あ、おはよう・・・あら、兄さん達と一緒じゃないの？」
「・・・二人はとても仲良く出かけたらしいの」
「くすくす・・・つまり置いていかれたのね」
「・・・・ティータぁ」
図星をつかれたは口を尖らせてしょぼんとした表情になった
は見る限りいつも兄さん達と居る、もう本当の家族ってくらい
もちろん私が帰って来た時は、それこそ誰よりも親切に扱ってくれるけど
「そんな顔しないで、せっかくだから私の相手をしてくれないかしら」
私一度でいいから剣術をやってみたかったの、そう微笑まれて言われても
「ええ！ムチャよ！ディリータに怒られるわ危ないことをさせるなって」
「いいじゃない、肝心の兄さんは居ないわ」
ティータにそんなお願いされは焦った
もしディリータが帰ってきたとき大事な妹のそんな姿をみかけたら
ディリータはきっと怒るだろう、だからは軽い気持ちで
「・・・・ねえ、ティータ？」
「なあに？？」
「もしティータが攫われたりしたら私が王子様みたいに助けに行くわ」
「まあったら・・・」
「どんな時でもティータは私が守るから、ティータは剣術なんて必要ないの」
だから剣術は却下、そうだ刺繍でもしよう、うんそれがいいわ
「・・・・ふふ、そういうことにしてあげるわ」
そう約束した、絵空事みたいな約束だったけど
・・・でも、その気持ちに嘘はなかったの
散る花のように
※ディリータとの再会と城塞都市ザランダの間ぐらいで
「ねえラムザ」
「なんだい？」
「オヴェリア様って王女様なんだよね・・・」
ポツリともらすに首をかしげるラムザ
「どうしたの今更？」
「王女様って言っても、傭兵の私と普通に話してくれるの」
ちょっとびっくり、と意外そうに話す
彼女の予想では、怖がるか、最初から話してくれないかと思っていたらしい
「は女の子で歳も近いから、話しやすいのかもね」
もっとも自分達は貴族で作法も学び、礼儀を知っているという点もある
少なくとも普通の傭兵とは違うとラムザは思った
だがそれは口には出さなかった、今の自分達には意味を持たない
それに言葉にしてしまったら、は泣くだろう、この寂しい少女は
「そ、そうかな？」
「・・・うん、話が合うなら大丈夫だよ」
「ふふ、オヴェリア様と仲良くなれるといいなぁ」
嬉しそうに語る、ああそういえば昔の彼女も
オヴェリア様と同じ境遇だったか
頼れる者は遠くにいて、近き者は誰も信じられなくて
友達など作れはしなかったし、差し伸べる者もいなかった
「頑張ってみればいいんじゃないかな、」
友達をつくることは悪い事ではないし、上手くいかなくても
誰もを責めはしない
一人と一人
ザルバックが遂行した任務の後ラムザは行方不明になった
ラムザが消えてアルマに深い悲しみが襲う事も分かっていたのに
でも、私はザルバックを問い詰める事なんて出来なかった
「・・ック！待ってザルバッグ！ラムザが戻ってきたって本当なの！？」
「・・・・ああ」
先の会議前にザルバックの部下が噂していた、将軍の弟が戻ってきたと
しかし私は何も聞いていない、ラムザは弟の様な存在なのに
「どうして知らせてくれなかったの！？ラムザは・・！」
「うるさい！あいつの名前を口にするな！！」
声を荒げ、腕を掴んだ手を振り払われは呆然と立ち尽くした
戦況の事もあるとはいえ、ザルバックらしくない振る舞いに戸惑ってしまう
「・・・・ザルバッ・・・ク？」
「・・・・・っ」
「・・・ザルバックどうしたの？ラ・・・あの子と何かあったの？」
「・・・・・何もない、それより今は緊急事態だ・・・後にしてくれ」
問いかけに答えずこの場を離れようとしたザルバックには
「嘘、何かあったのね・・・」
「・・・・なぜそう思う？」
「ザルバックの嘘ぐらい見抜けるもの・・・・」
「・・・・」
それともたかが婚約者がベオルブ家に口を出すなってことなのかな
は拒絶された手を見つめ、握り締めた
握るさいに手に強い痛みが走ったのは、とても、悲し、い
「私には弟の消息も、貴方の心も知ることは出来ないの・・・？」
想うことだけは許して
「・・・私はそんなつもりでは・・・」
彼の困惑した瞳が私を見つめて、彼の手が私の頬を包み込んだ
ああ、珍しいなぁと、頭の隅でぼんやりと思った
ザルバックが城で私に優しくするなんて
「ザルバック・・私はあなたの事が好きよ、今も、昔も」
厳しさの中にも垣間見えるあなたの優しさが好き
ラムザがいなくなったあの日、ティータを、殺した日
あなたは確かに沈んでいたのを、私は知っている
「・・・・」
「もちろんあなたの兄弟も」
「・・・・・」
「私は今もあの子が好きよ、あの純粋で優しいラムザが」
ラムザの名前を聞くと私の頬を包み込む手が、少し震えた
ザルバックは肝心なことは何も話さないし、言わない
それは私に弱さを見せないためだと、けど私は
「・・・・泣くな、」
いつの間にか涙が出ていた、慌てて涙を拭いても眼からこぼれていく
その涙をザルバックが掬い上げ、私の額に、口に軽い口付けをする
けど優しくされれば、されるほど涙が出てきくる。寂しくて、不安で
彼は知らないだろうけど、聞こえたのだ、扉の奥から。あの悲しい言葉、が
このまま、何も知らないまま時が過ぎて、すべてが終わった日
私はそれで後悔しないのかと問われれば、それは嘘。だけど
「・・・・・ザルバック、お願いだから・・・」
すべてを話して、あなたの事も、ラムザの事も、という言葉は
「将軍閣下」と、あなたを呼ぶ声と共に、消えた
あなたの幻
違う、違う、これは恋じゃない
「」
ダイスダーグが私を呼びつける、そのいつもと変わりのない声を聞いて
渋い顔をした私を見て怪訝な顔をしたが私は顔を背け見ないふりをした
違うこの男はひどい男だ、優しさなどなく、ただ己のために何かを成し遂げる男
それがたとえ事故という名の人殺しであろうとも
「・・・・いかがなさいましたでしょうか、ベオルブ閣下」
ああ、もはやこの男をダイスダークという名で呼ぶことは不可能に近い
それほどまでに、この男は遠くに登りつめた
群がる者を潰し合わせ、突き落とし
君臨するものを引きずり降ろして
「なぜそんな顔をする？お前は嬉しくないのか」
「・・・・・いえ、そのような事は」
「どうせお前のことだ素直に喜べぬのだろう」
「・・・・・・・」
「だからお前は出世できんのだ」
「・・・・・・申し訳ございません」
この男のしでかした事はもはや犯罪では済まされない域だ
私はこの事を告発するべきだというのに、なのに何故
いや、そもそも告発してとしてもこの男に逆らえる者は最早いるのだろうか
「どうした、今日はずいぶん大人しいのだな」
そう言ってダイスダークが私の顎に手を添える、その手は酷く優しい
・・・・・否、いない、いるはずがない、そうだ、だから私はここにいるのだ
だからけして、この男を失う事を恐れている訳ではな、い
恋と呼べない
貴方は、どこへ逝ってしまったのでしょう
どうして貴方が逝かなくてはいけなかったのか
戦争では恐れられた貴方が
どうしてこんな寝台の上で静かに横たわっているのでしょうか
私は貴方の死に目には会えませんでした
それは仕方がないことです
それは掟なのです
それは即ち世界なのです
けれど私にはどうしてもそれが受け入れることができません
貴方を看取る事が出来ないなんて
そんな世界など潰れてしまえばいいのに
・・・・・・けれど、そんな世界で生きられるように導いてくれたのは貴方で
そして、そんな世界で今生きているのは私です
貴方が生きていれば、まだ私は壊れる事を望んだでしょう
けれど今はもう無理です
私は何もできないから
私が生きてこれたのは貴方がいたからで
貴方がいたおかげで私は大切な人々と出会いました
もし貴方がいなければ
きっと私は羽の折れた蝶のように
掻きむしられて死んでいたでしょう
涙の眠り
私は団長争いまで持ち込んだが、団長になったのはダイスダーグだ
争ったからとはいえ就任早々に喧嘩を売られるような覚えはない
「待ちなさい、ダイスダーグ」
「・・・・か、今は公務中なのだが」
「公務中で結構よ、私も公務中の異議だから」
他人が聞いたら地位剥奪されそうな会話だが、それは心配無用なもので
案の定ダイスダーグは顔をしかめる程度で、怒る素振りなど無い
「・・・・・何だ」
「明日の討伐隊から、何も身に覚えも無く外されたの」
「・・・・・それがどうした」
「どうしたもこうしたも、その部隊の隊長は私なのよ・・！」
頭に血が上る、当たり前だ自分は無能だと言われたようなものだ
少し前まで同僚だった気兼ねよさの面影などまったくない
「・・・あれは別の隊に任せる、お前はよい」
「ダイスダーク！！そんな勝手なこと・・・・！！」
そう文句を言おうとして、首に手をかけられた
絞めるわけではなく声を荒げるなと言う風に、指が首に触れた
「・・・・な、な・・・によ・・ダ・・・イ・・スダーク・・・」
「お前は私の傍にいればよいのだ」
傍にいて私の相手をしてればよいのだ、わざわざ危険な所に行かせぬ
そう言い残して遠ざかるダイスダーグ、自分の胸の鼓動は少し早い
「・・・・嘘、だ・・・・」
そうだ、あの男が私に女というものとして見るわけが無い、見られるわけがない
そんなもの一度も見られた事さえない・・・だから、きっとあれは嘘だ・・・
そう自分に言い聞かして、自分の思いを誤魔化した
どうか一度だけ
交じり合う吐息
※ムスタディオをやっつけろ♥のネタバレ注意
「わーっ！フェニックスの尾ーっ！ フェニックスの尾はどこだーっ！！」
「キャア！ムスタディオ！！しっかりして！！ムスタディオ！！」
「・・・・・」
ラムザとの叫び声を最後に俺の意識は完全に沈んだ
遠い意識の中で肝心の親父の声は一切聞こえなかったのは
驚いて声が出せなかったのだと
そう信じたい
◆◆
「う、うう・・・・」
重いまぶたを開けるとそこは見慣れた天井だったので
特に違和感など思いつく訳も無く反射低に体を起こそうとしたが
ただ体の節々に鈍器に殴られたような鈍い痛みが走り・・・いっ！てえぇ！
吐き捨てるような叫びと共に自分の頭は枕に沈んだ
「目が覚めたのムスタディオ？！」
「・・・・・・俺は・・・」
「・・・ムスタディオあの、落ち着いて聞いてね」
なるべく興奮させぬようには椅子から降りて寝台の横に膝立ちになり
寝台の上に放り出されていたムスタディオの手をやさしく両手で握る
普段のムスタディオなら戦闘以外はラムザともう一人の幼馴染の男以外には
恥ずかしがって
自分からあまり触れてこないに何か反応を示すものだが
幸か不幸か彼の意識はまだ上の空だった
「えっと、そのごめんなさい・・・ラムザがあんな事を・・・」
「・・・あんな事？・・・あんなこと・・・？」
「ムスタディオ覚えて・・・？」
「そうだーーー！！ラムザの野郎！！あの鉄の塊になんて命令を！！」
「きゃあ！ああっ！ムスタディオ起き上がっちゃ駄目！」
今にも飛び上がりそうなムスタディオに
はなんとか両手を肩に伸ばし抑えつけようとしたが
の努力むなしくムスタディオは襲い来る新たなる痛みを避ける事はできなかった
「〜〜〜〜〜〜〜！！！！！」
「ム、ムスタディオ落ち着いて・・・」
「ラムザはどこいったんだ！？」
痛みに前に体を曲げたまま動けないムスタディオの背中を優しくさすりながら
はさっきから一向に見当たらない他の当事者達の説明をする
「あのね、ラムザは今罪滅ぼしとして
あの大きい鉄の人形とムスタディオのお父さんの手伝いをしているの。
だから今ココにはいないけど帰ってきたらちゃんとお詫びするから・・・」
許して？と申し訳なさそうにするの心の声が聞こえたような気がした。
そんな顔で自分を見つめられるとラムザ当人の謝罪も聞かぬまま
許さなければいけなくなる気にさせられムスタディオはうっ、と息を詰まらせる
しかしそんなムスタディオの様子を痛みで喋れないのだと勘違いしたは
「大変！ムスタディオとりあえず寝台に横になれる？」
ムスタディオの背中を支えて
そのまま体に痛みを感じさせないよう慎重にゆっくりと後ろに倒す
しかしムスタディオの体格のほうが大きいし
力の入らない病人なので結構思っていたより重く
一人は支えるのに苦労し
ムスタディオを抱き込むような形でようやく寝台に横たわらせる事ができた
「んっ・・と・・・はぁ、よし終わり平気ムスタディオ？痛くなかった・・・？」
心の底から心配そうに見つめる純粋無垢なの瞳に映るのは
何故か顔を赤くしたムスタディオだが
何故か視線が定まらない
「ムスタディオ・・・？？やっぱり痛い？回復魔法かけたのだけど薬も塗る？」
「・・・あ、ああ!い、いや！・・・その大丈夫だから・・・ありがとぅ・・・」
冗談じゃない！！ムスタディオは心の中でそう叫ぶ
ただでさえの柔らかな体が密着してから要らぬ想像が頭の中が爆発しそうなのに
親父も誰もいない所でに服を脱がされ看病されるなどいろんな意味でもたない
それこそラムザに今度こそ殺される！！そう忘れろ忘れるんだと瞼を閉じてもてあましていると
「ムスタディオ眠いの・・・？？」
「・・・ああ、そうだな少し眠くなってきたな〜なんて」
「そう・・・じゃあムスタディオが眠るまで手を握っててあげる」
「？！」
「病人の時って心細いから」
にこりと笑って恐る恐るだが自分としっかり手を繋ぐ
しかも丁寧に一つ一つの指を繋がれ目を閉じてる分むず痒い感覚に
行為的な仕草を感じてムスタディオはますます熱が上がっていき焦る
「・・っ！！？？！！！」
「ムスタディオの手つきは銃を使うから私達とは手つきがだいぶ違うのね・・・」
ッツーと興味深そうに繋いだままムスタディオの引き金を引く人差し指の部分をゆっくりとなぞる
その仕草にムスタディオの何かが切れそうに成るのを必死に抑える
まずいまずい！繋いだ自分の小さな手から暖かな温度が伝わってきて
ただでさえ胸の鼓動が早いというのに
おまけに脳幹にぞくぞくと刺激されるような触れられ方をされて
これ以上やられたら限界である、主に、自分の、体の、どこかが！
そうなる前に終わらせなければ！ムスタディオは心を鬼にし決意した
の手をぎゅっと握り締めそのまま自分の顔の前まで手を寄せる。
幸い腕を動かすだけなら痛まない
「・・・ムスタディオどうしたの？」
きょとんと不思議そうな顔をしているがムスタディオの顔を覗き込む
そんなにムスタディオは精一杯の悪戯顔を作り
そのままの指に軽く音を立てて口付けを落とす
「きゃ！ム、ムスタディオ・・・？！」
「そんなに俺の手が恋しいのかい・・・？」
「・・・・・・？・・・・・・っ！ち、ちがうのそんな意味は！！」
「いつになったら寝かせてくれるんだいは？」
「だからあれは！も、もうムスタディオの意地悪！！」
顔を真っ赤にして首を振って否定する
それでも手は振り払っては自分の負担になると考え繋いだままだ
そんな姿に愛おしさを覚えつつ、同時に苦笑いを浮かべもう一度口付けを落とす
「には負けるよ」
指先にキス