ASSASSIN'S CREED



部屋の外に引っ張り出されの治療を受けることになったマリク
楽しそうなにああ、またか・・・とため息をつきたくなった

「絨毯に座っててね」
「・・・ああ」

そう言い残して薬箱など治療に使うものを持ってくるためは部屋の中に戻った
治療といても腕の筋肉をほぐしたり、血行をめぐらせるためのごく簡単なものだ
いつもは仮眠に使う絨毯の上に座り込むと服を脱ぐために紐をはずす

「マリク〜肩だして」
「・・・分かっている」

マリクは片腕で器用に上着と羽織っている服を上半身だけ脱ぐ
暗殺者から転身したとはいえ、鍛え抜かれた体は未だ衰えてはおらず
その存在感は男女問わず見るものを圧倒させる、がしかし普段から見慣れている
は特に照れることもなく淡々と作業を進めていた

「マリク寒い?もう夕方だし」
「・・・いや別に」
「まあ少し厚めの布でいっか」

両肩から上腕まで隠れる位の大きめの布を被せる
鎖骨の辺りで布についている紐で結ぶと
正面からはマリクの左腕が布で隠れているように見える

「苦しくない?」
「いや」
「じゃあ始めるから寝てて」
「少し待て・・・」

マリクは片手で座布団をちょうどよい位置に置くと
そのまま仮眠を取るかのようにうつ伏せに倒れこみ目を閉じた
は箱から油のようなものを取り出しマリクの腕や肩につけていく

「・・・今度は何の液体だ」
「よくぞ聞いてくれました!今度は印度から手に入れた胡麻の油なの!
行商人曰く美容から病気まで使われるんだって〜〜!」
「・・・油なら同じ阿列布(オリーブ)でいいだろ・・・」
「これは胡麻だから違うの〜!・・・たぶん」
「・・・どういう意味だ」
「だって・・・私使った事ないし・・・」

声が小さくなっていくにマリクはため息をつく
はどこから見つけて来たんだと言わんばかりに新しい薬をみつけてくる
それが本当に体に良いかは使ってみないと分からないので、それがマリクを不安にさせる

「・・・俺を殺すなよ」
「大丈夫よ、印度人の行商人に聞いたらみんな知ってたから」
「・・・・・・・」
「ただの油だから大丈夫よ」

渋い顔をするマリクだがはしれっとした顔で答える
さすがのも怪しい薬は買わない事を学んだ

・・・怪しい商人から買った飲み薬
さすがのも半信半疑でマリクに飲ませる前にちょうど支部にいた鼠に薬を飲ませれば
それは痙攣を引き起こし、涎をたらしながらふらふらと歩くという観察結果になった

「・・・もうエジプトから伝わってきた秘伝の薬とかは買わないから」
「あれのどこが秘伝だ、ただの毒だ」
「鼠に使わなかったら危なかったかな・・・」

遠い目をして物思いにふける
一応、反省はしているようでマリクは一先ず追求することをやめた

「役に立たない世界だ、秘宝はあっても秘伝は無いとはな」
「きっとどこかにあるわよ・・・!」
「いいか、あっても俺に使うんじゃない。もう一度言うぞ、あっても俺に使うな!」
「大丈夫よ、まずは鼠で試すから!」
「・・・・・・」

輝いた目で話すをどうやって止められようか
は薬に関しては目が無い。ありとあらゆるものに興味がある
マリクはこれは一種の病気だ、そう思うことにした
そんな会話を交わしながらはマリクの左腕など肩全体を揉んでいく
油をつけた箇所からはぽたぽたと垂れるが着ている布に染み渡る

「ねえねえ阿列布(オリーブ)の時と何か違う?」
「分からん」
「えー・・・何かないの?幸せーとか安らぐーとか」
「ない」
「・・・行商人がこれつければ天にものぼる気持ちになるとか言ってたのに」
「こんなもんで天に行ってたまるか」
「・・・そう」

落ち込むの声が聞こえてマリクは慌てる
考えればがマリクのために探してきた薬で治ると期待して買った来たのだ
少しでも効果が現れれば御の字だが、それを当の本人に否定されては気落ちするのは当然である

「い、いやまだ初日だから分からないだけだ」
「でも・・・」
「そ、そのうち効果が出るだろ」
「・・・そうかな〜?」

悩ましげに答えるにマリクはとりあえず安堵する
何故かは分からないが沈んでいるを見ていると落ち着かない
心配するマリクなど露知らずは右肩を指で押す

「相変わらず右肩がこってるね、硬い」
「・・・っ、ま、あそこしか使えないから、な」
「ごりごりしてる・・・はぁっ!」
「っぐぁ!こ、ら、っ!、もっと、う゛!丁寧にし、ろ!」

こっている箇所を肘で重点的に力強く攻めるを止めようとするが
喉の奥からは蛙が潰れた様な声しか紡ぎだされない

「やだマリク訓練で一方的に殴られてる新米みたい」
「誰が、新ま、いだ!おま、えの、っ!せい、だ!」
「だってマリク筋肉あるから指で押したってあんまり意味ないもの」
「や、めろ゛」
「あら管区長なら耐えれるから平気よね」
「・・・こっ、のぉ・・!」

マリクの叫びもむなしく、そのままそのまま楽しそうに荒事を続行する
結局それを終えたのはマリクが諦めて声も出なくなってからである







「うー終わったー」


「・・・・・・」
「そのまましばらく寝てて、そのあと油落とすから」
「・・・・・ああ」

自分より力のないとは言え、好きなように蹂躙されれば喋る気力もなくなる
そのまま立ち上がり手を洗いに行くを尻目に目を閉じる

(・・・疲れた・・・)

訓練とは違うまた別の種類の疲労感が全身を覆っていたが
じんわりと肩に暖かく染み込んで来る熱に心地よさを感じ
寝不足と疲労ということ事もあり



そのままマリクの意識は遠くなっていった





だって天にも昇れるって!